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江戸時代の飾り幕

2020.10.12

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只今 当店にて修復中の飾り幕をご紹介いたします。和歌山県紀の川市粉河 本町地区の傘幕です。作られた年代は江戸時代(文政~天保)制作と思われます。

 

来年の春に完成予定です。

 

図柄 『鳳凰麒麟乃図』

 

〇図柄について

鳳凰は、古代中国では四霊獣のひとつで、麒麟・霊亀・応龍とともに尊ばれた想像上の

生き物で、聖天子、出生の前触れとして出現すると伝えられている。

孔雀に似た想像上の瑞鳥で、雄は「鳳(ほう)」、雌は「凰(おう)」とされ、仏教とともに

日本に伝来しました。

麒麟は、中国神説に現れる伝説上の霊獣である。聖人が現れる前に出現すると伝えられて

いる。また、獣類の長とされ、これは鳥類の長たる鳳凰と比せられ、非常に縁起の良い図柄

として鳳凰と麒麟は、よく対に扱われる。

 

本作品は、江戸時代後期に制作された。猩々緋羅紗の生地に鳳凰と麒麟が雲の上を飛び戯れて

いる姿を肉入レ刺繍によって表現された飾り幕です。

鳳凰は、純金糸と色彩豊かな正絹糸が使われ、もろ撚り、そろばん撚り、金一撚りといった

様々な技法で撚られた糸が使用されています。

麒麟は、全体的に純金糸が多く、体全体の鱗は、硬さの質感を表現する為に撚り金(二本の

金を撚ったもの)が使用されています。

鱗の輪郭を際立たせる為の墨塗りは、古い刺繍でよく見られる表現方法です。

また、鳳凰の尾羽根の先、一つ一つにガラス(ビードロ)が嵌め込まれ、これらもガラスの裏に

墨塗りを色彩で模様が施されています。

 

江戸時代、天保年間(1830~1845年)に刊行された紀伊名所図会の巻之一「南町より出る車楽

の図」では、本町のだんじりが描かれています。

上部分の傘幕の図柄と現在の傘幕の図柄が酷似しており、本作品は、金糸・正絹糸の古さ、

刺繍技法より江戸後期(文政~天保年間)に制作されたと推定され、大変貴重なものといえます。

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尾羽の先に彩色が施された平ガラスが嵌め込まれています。

 

 

 

 

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