2020.03.20
先週3月13日に和歌山県紀の川市粉河の天福町地区に飾り幕の納品に行ってまいりました。この飾り幕は、だんじりの前後左右まわりに装飾される幕で「緞帳幕(どんちょうまく)」と呼ばれています。図柄は『三國志 長坂の戦い乃図』(江戸時代 文政~天保年間製)です。今回 文化庁の補助事業『紀の川市文化遺産観光復興地域活性化事業』の一環で、約5ヶ月をかけて当店で大改修させていただきました。
2012年3月28日のわかやま新報(緞帳幕、改修前)の新聞記事と、今回の納品の模様が毎日新聞に掲載されたので紹介させていただきます。
『三國志長坂橋乃図』
2012年3月28日 わかやま新報より
『粉河祭の昔のだんじり緞帳みつかる』
紀州三大祭り 「粉河祭」 の昔のだんじり復活に向け取り組んでいる紀の川市粉河の自営業、小畑雅行さん(58)が、 なくなったとされていた地元「天福町」 のだんじり緞帳(どんちょう)4枚を約30年ぶりに発見した。
緞帳はだんじり本体部分を覆う装飾の布。 主に本祭りでみこしを展示する際に付けられていた。 大きさは縦1・5㍍横2㍍。 刺繍 (ししゅう) は、 よった糸を使い、 馬や人を立体的に表現。 目の部分にガラスや、 金糸を使うなど豪華だ。
江戸時代後期の書物 「紀伊國名所図会」 に描かれた模様とほぼ同じなため、 当時から受け継がれてきたものではないかとみられている。 地区住民宅に長期間保管されていたため傷みが目立つが今後、 京都の刺繍職人に依頼し修復を予定している。
小畑さんは 「まちのだんじりでも緞帳が残っているのは3基ほど。 昔のだんじり復活に向けて一歩近づきました」 と話していた。
発見された緞帳(どんちょう)
改修前の状態
2020年3月14日 毎日新聞より
修復された天福町の緞帳幕の1枚=紀の川市粉河の集会場「天福荘」で、【後藤奈緒 記者 撮影】
『江戸時代の緞帳幕 修復』 粉河祭 だんじりで使用 あすまで集会場で展示
紀州三大祭りの一つ、紀の川市の「粉河祭」(県無形民俗文化財)で使われるだんじりの緞帳(どんちょう)幕が修復された。同市粉河の天福(てんぶく)町の緞帳幕3枚で、江戸時代から使われていたとみられる。同町の集会所「天福荘」で13日、展示が始まった。見学は無料で、15日まで。
緞帳幕はだんじりの側面にかけられる飾り。今回修復された緞帳幕には、三国志の登場人物、趙雲(ちょううん)が敵兵と戦っている様子などが立体的に刺しゅうされている。江戸時代の書物にも同じ絵柄の幕が描かれており、江戸時代のものとみられる。
幕は長年民家に預けられており、2019年に修復が始まった。紫外線や湿気の影響で生地や糸が劣化し、馬や、人物の絵柄も崩れていたという。
修復を、担当した兵庫県洲本市の縫箔師、川崎順次さんによると、劣化した糸は、生地の裏側に残る糸を見て本来の色合いを確認して再現。使える糸や生地は再利用した。「古い風合いを損なわないように加減するのに苦労した」と話す。
修復された幕を見た粉河祭実行委員の小畑雅行さん(66)は「実現するとは思ってなかった。本来の様子によみがえって感動した」と笑顔で話した。【後藤奈緒 記者】
「関羽(かんう) と 劉備(りゅうび)」
「文聘(ぶんぺい) と 趙雲(ちょううん)」
「張飛(ちょうひ)」