2016.12.05
江戸時代 天保年間(1830~1844年)に刊行された紀伊名所図会です。当時の粉河祭の様子、天福町のだんじりが描かれています。
上から二段目の行燈幕に「海女の玉取り」の図柄が確認できます。
修復前の行燈幕です。紀伊名所図会に描かれていた幕と同じものです。制作されてから約180年経過しており、龍神のガラス目玉が割れ、撚り糸の欠損も多く傷みが進んだ状態でした。
当時の古い純金糸です。純金箔が剥がれ、漆がむき出しになって腐食も進んでいます。
古い幕から下絵を写し取り、下地(黒羅紗)から刺繍を取り外しているところです。刺繍が傷まないように慎重に綴じ糸を切っていきます。
腐食の進んでいた龍神の古い純金糸は すべて取り外し、肉だけの状態にしました。
綿を付け足し、肉を整えてから、新しい純金糸で刺繍修復をしているところです。純金糸は古来(江戸期)と同じ技法で制作された手押し金箔の純金糸を使用しました。
龍神の頭部分です。
海女の髪の毛は人毛を付け足して、着物はトキ色の正絹平糸を使用し復元しました。
仕上げの大台作業しているところです。下地の黒羅紗は新調。波部分は新しい別染めの撚り糸で刺繍復元しました。完成品は作品一覧の飾り幕のページをご覧ください。